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2024.07.31 印刷会社の生成AI活用術|独自のアプリで業務を効率化
生成AI

昨今、生成AIが世間をにぎわしていて、それに関連するシステムやアプリなどもどんどん登場していますね。
今回は、法令印刷における生成AIへの取り組みなどについてご紹介します。


生成AIとは?

生成AI(Generative Artificial Intelligence)とは、機械学習の一分野であり、膨大なデータをもとに新しいコンテンツを生成できる技術です。
話題のOpenAI社の「ChatGPT」やGoogle社の「Gemini」には、大規模言語モデルが使用されています。
 
大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)とは、膨大なテキストデータとディープラーニング技術を用いて構築された、自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)と呼ばれる分野における技術です。
従来のAI(スパムメールのフィルタリングや、チェスのゲームでの最適な手を計算するシステムなど)は与えられたデータを分類・分析することが主な役割でした。
 
一方、生成AIは学習したデータをもとにして、全く新しい文章、画像、音声、動画を生成できることが特徴です。
例えば、生成AIを利用することで文章の自動生成やプログラムコードの生成、画像や動画の作成、音声合成などが可能になります。
これにより、クリエイティブな作業や日常業務の効率化が期待されています。

法令印刷における生成AIの活用の取り組み

当社でも積極的に生成AIを活用することで、業務の改善や効率化に役立てています。
例えば、次のような場面で生成AIを活用しています。

社内業務での活用事例

・マーケティングコンテンツの自動生成
生成AIを用いて、マーケット分析や商品のターゲット層のペルソナ(ユーザー中心設計やマーケティングにおいて、サイト、ソフトウェアを使用する典型的なユーザーを表すために設定した仮想的な人物像のこと)生成や、マーケティングコンテンツを自動生成しています。
 
生成AIは過去の顧客データや市場トレンドを基にして、ターゲット層に最適なコンテンツを効率的に作成します。
これによりコンテンツ制作の時間とコストを削減し、より多くのターゲット層を想定した検討を行うことが可能になりました。

・プログラム開発時のコーディング補助、テストコード生成
生成AIを活用して、プログラム開発時におけるコーディングの補助やテストコードの自動生成を行っています。
生成AIは、開発者が記述するコードの文脈を理解し、適切なコードの補完や、コード全体の最適化をリアルタイムで支援します。
 
これにより、開発者は複雑な処理でも効率的に記述・修正できるようになり、開発スピードが向上しました。
また、生成AIが自動でテストコードを生成することで、テストケースの網羅性が向上し、品質の向上やリリースまでの時間の短縮を実現できました。

・書籍の表紙などのイメージ案生成
生成AIを活用することで、書籍の表紙イメージ案などを効率的に生成できるようになりました。
特定のジャンルやテーマ、ターゲット読者層を生成AIに入力すると、多様なデザイン案が提案されます。
これにより、デザイナーは最適なデザインを選び出し、さまざまなイメージ案を作成できます。

こんなこともできる、法令印刷のアプリケーション

当社では、アプリケーションの開発にも力を入れており、現在、下記のようなアプリケーションを社内・お客様にご提供しています。

・書籍の専門家チャットアプリ
ChatGPTなどの生成AIは学習した膨大なデータをもとに新しいコンテンツを生成したり、一般的な質問に対して回答したりすることは得意ですが、特定の書籍の内容や高度な専門知識に関する質問には限界があります。
 
この課題を解決するために、出版社様との協力によりお客様の書籍データを生成AIに参照させることで、正確で信頼性の高い情報を提供するチャットアプリを開発しました。
このアプリは、書籍内の内容に基づいた専門的な質問にも対応可能で、ユーザーにとって精度の高い情報を分かりやすく提供できます。

・社内ナレッジを参照したアバターチャットアプリ
社内には長年蓄積した社内システムのナレッジがありますが、ナレッジデータの中から必要な情報を見つけ出すことは、社員にとって難しい作業でした。
そこで開発したのが、社内ナレッジをテキストデータ化し、そのデータを参照して回答するアバターチャットアプリです。
社員はこのアプリを通じてアバターに質問するだけで、素早く必要な情報にアクセスでき、社内システムへの疑問を解消できるようになりました。
その結果、課内の業務負担を軽減しつつ、社員が迅速かつ的確なサポートを受けることが可能になったのです。

・議事録生成アプリ
生成AIでは音声データを入力し、その音声をテキストデータとして出力する機能があります。
この機能を生かして、会議や打ち合わせなどで録音した音声データをもとに議事録を生成するアプリを開発しました。
このアプリケーションは音声データを生成AIに入力してテキストデータ化し、その後、そのテキストデータの内容から文章の要点をまとめて議事録を生成します。
 
現時点では、音声認識の精度に課題が残りますが、テキスト化の際に生じた誤りをある程度補完することで、一定の品質の議事録の作成が可能です。
これにより、会議後の議事録作成作業の負担を大幅に軽減することができました。

法令印刷では、生成AIに関するご意見・ご要望を募集しています

生成AIは、私たちの生活やビジネスを変革する可能性を秘めた革新的な技術です。
当社では、この技術を最大限に活用し、お客様にとって価値のある製品やサービスを提供していきたいと考えています。
「こんなことをやってみたい」「あんなことはできるのか?」など、ご意見やご要望がありましたらお気軽にご連絡ください。

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