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2022.02.01 色の話1
カラーマネージメント

赤い色の電車、黄色を示す信号機、公園の木々の緑色……私たちは日々、さまざまな色に囲まれて生活していますよね。普段から何気なく、何かを見て「あれは〇〇色だ」と表現しています。でも実は、物体そのものに「色」がついているわけではありません。

今回は、そんな「色」について、基礎知識をご紹介します。

そもそも「色」とは?

まず色とは、大きく「光源色」と「物体色」に分かれます。

[光源色]

  • ・太陽や照明、モニターなどの「光源」そのものが発している色のこと

[物体色]

  • ・「光源」の光を受けた物体が発する色のこと
  • ・物体の表面で不透明な光が反射する「表面色」と、半透明物体を透過した光で生じる「透過色」の2つがある
視覚のプロセス

 
「光源色」は、モニターの光などがそのまま私たちの目に入って認識する色ですが、「物体色」は、光の反射を認識する色です。
 
太陽光や照明などの光(光源)が物体に当たると、物体はその光を一部吸収し、残りを反射させます。反射させた光を私たちは目で見て、脳で情報処理し、そこで初めて「これは〇〇色だ」と判別しています。
つまり物体色は、「光源」→「物体」→「視覚&脳の情報処理」のプロセスを経て、初めて認識することができます。
 

「光」の波長によって違う色に見える

物体色の認識のプロセスがわかると、なぜさまざまなものが「違う色」に見えるのかがわかります。
それは、物体に当たる「光」の性質が異なるからです。
 
「光」とは、電磁波の一種です。そのうち、私たちが目で見える領域の波長の電磁波を「可視光線」といいます。
この可視光線は、大きく「短波長」「中波長」「長波長」に分かれ、この波長の違いによって、物体がどんな色を強く反射するか、つまり私たちがどんな光を目にし、色として認識するかが決まります。
 

  • ・短波長……紫、 藍、青紫など
  • ・中波長……緑
  • ・長波長……赤、黄
可視光線

例えばりんごが赤く見えるのは、光が当たったりんごが赤い光の波長を反射し、それ以外の波長の光を吸収するからです。私たちは目に届く反射された赤い光で、赤い色だと認識することになります。
 

環境や条件によっても色の見え方は変わる

りんごだけではありません。例えばお店で試着して素敵な色合いに見えた洋服が、いざ購入して自宅で着てみると「なんだかイメージが違う……」といったことはありませんか。
これはお店と自宅では洋服が置かれている環境や「光源」が違うため、物体が反射する光も異なるからです。
太陽光、蛍光灯、白熱電灯などの光源となる照明や、物体が置かれた背景の色などが違うと、同じ物体でも、違う色に見えるということですね。
 
このように色は、周囲の環境や条件などによっても、見え方が変化します。
 

色の三属性

また、色は「色相」「明度」「彩度」の3つの要素で構成されています。

[色相]

  • ・赤・黄・緑・青・紫などの色味の性質のこと
  • ・人間が見える領域の光を、波長順に並べたものを「光のスペクトル」という。波長の長い順に、赤→橙→黄→緑→青→藍→紫と連続的に変化する
  • ・色相を円環状に配置し色の変化をわかりやすく示したものを「色相環」という
  • ・色相環で隣や近くにある色を「類似色」、反対側にある色を「反対色」「補色」という
色の三属性

[明度]

  • ・色の明るさの度合いのこと
  • ・白に近く明るい色は「高明度」、黒に近く暗い色は「低明度」、中間の明るさの色は「中明度」

[彩度]

  • ・色の鮮やかさの度合いのこと
  • ・彩度が高いほどビビッドで鮮やかな派手色となり、彩度が低いほどくすんで鈍く落ち着いた色となる
  • ・白色、黒色、グレーの3色は「無彩色」と呼ばれ、彩度がない

 

RGBとCMYK

また、印刷業界では色について「RGB」や「CMYK」という単語がしょっちゅう飛び交います。
2つの違いも押さえておきましょう。

[RGB]

  • ・Red(赤色)、Green(緑色)、Blue(青色)の頭文字
  • ・「光の三原色」と呼ばれる
  • ・色が混ぜ合わせるほど明るい色になる「加法混色」
  • ・すべての色が重なる部分は白色となる
  • ・テレビやパソコンの液晶ディスプレイ、モニターなど、画面上で
    使う発色方式
色の三属性

[CMYK]

  • ・Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Key tone(印刷色調を表すキートーン)の頭文字※
  • ・「色料の三原色」と呼ばれる
  • ・色が混ぜ合わせるほど明るい色になる「加法混色」
  • ・すべての色が重なる部分は黒色となる
  • ・紙などの印刷物に使う発色方式で、CMYKの4色のインキをプロセスカラーと呼ぶ

※印刷プレートであるキー・プレート(Key plate)の頭文字という説もあります
 
テレビやパソコンの画面では、RGBの3色の量を変化させて、色を表現しています。
 
一方、印刷物では、CMYKの4色のインキの量を変化させて、色を表現しています。理論上は、1色あたり0~100%で指定できるため、CMYKのほうがRGBより色の表現が数多くできますが、実際の印刷では、そこまで微細な色の差を表現することは、難しいといえます。
 

まとめ

ここまで色の基礎知識をご紹介してきました。
 
印刷ではCMYKの割合で色を表現しますが、印刷前にモニターで見ているデータはRGBで表現されています。そのため、いざ印刷すると、「モニターで見ていた色のイメージと、出力された色が微妙に違う」ということになります。
そこで、RGBで作ったデータを印刷するときは、印刷データ入稿前に、CMYK形式に変換する必要があります。
 
また、用紙の違いなど、他の条件によっても出力される色は微妙に異なります。RGBとCMYKの違いも押さえつつ、「色校正」でしっかり確認することが大切です。
 

弊社では印刷物でお客様がイメージする色を再現できるよう、さまざまなご提案をさせていただきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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